令和6年確定申告における税制改正のポイント
まもなく年末を迎えますので、個人の方の確定申告に関する令和6年度の税制改正のポイントをまとめてみました。今回の改正は、定額減税や住宅ローンの特別控除の拡充、ストックオプション税制の利便性向上といった改正がされています。
1.所得税・個人住民税の定額減税
デフレ脱却のための一時的な措置として、納税者及びその配偶者を含めた扶養親族1人について、所得税3万円、住民税1万円の定額減税が実施されました。
- 定額減税の対象者:令和6年分の所得税の納税者(居住者に限る)で、かつ、令和6年分の所得税に係る合計所得金額が1,805万円以下である方
- 給与所得者の方に対する定額減税は、勤務先において令和6年6月1日以降最初に支払われる給与等に対する源泉徴収税額から定額減税額が控除される方法で、すでに減税を受けていると思われます。一方、個人事業主の方については、所得税のみ、予定納税額からの控除もしくは確定申告書での対応が必要となります。
- 住民税に関しては、自動的に減税が行われるため、手続きは不要です。
- 個人事業主の方の場合は、確定申告を行うにあたり、第1表で定額減税の対象人数と金額(対象人数×3万円)を記載することで、税額から控除されます。
- もとの税金が少なく、減税しきれない場合は、調整給付金がもらえます。
2.住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除
令和6年度税制改正では、子育て世帯等に対する支援策として、住宅ローン控除減税の制度変更が行われています。
- 子育て世帯等(①年齢40歳未満であって配偶者を有するもの、②年齢40歳以上であっても年齢40歳未満の配偶者を有する者または、③年齢19歳未満の扶養親族を有する者)が令和6年に入居する場合には、令和5年入居の場合の水準(認定住宅:5,000万円、ZEH水準省エネ住宅:4,500万円、省エネ基準適合住宅:4,000万円)を維持することになりました。
- 子育て世帯等以外の場合には、従来よりも控除金額が減少しています(認定住宅:4,500万円、ZEH水準省エネ住宅:3,500万円、省エネ基準適合住宅:3,000万円)。
- 新築住宅の床面積要件を40㎡以上に緩和する措置(合計所得金額1,000万円以下の年分に限る)について、建築確認の期限を令和6年12月31日に延長しています。
- 省エネ基準に適合しない場合は、ローン控除を適用はありません。
3.ストックオプション税制の要件緩和
スタートアップの人材獲得力向上のため、税制適格ストックオプション税制の改正が行われ、ストックオプションについて、権利行使限度額の緩和等の措置が行われました。
- 設立の日以降の期間が5年以上20年未満の株式会社で、非上場会社又は上場の日以降の期間が5年未満の上場会社については、付与するストックオプションの上限は年間3,600万円
- ストックオプション税制の付与対象者は、従来と変わらず、会社及びその子会社の取締役、執行役員及び使用人もしくは、一定の要件を満たす社外高度人材(大口株主及びその特別関係者を除く)となっています。
- 権利行使期間については、付与決議日後2年を経過した日から付与決議日後10年を経過する日までとなっています。