令和4年確定申告における税制改正のポイント

 2月16日から確定申告書の提出期間に入りましたので、本年度も税制改正のポイントをまとめてみました。今回の改正は、住宅ローン控除特例の延長や子育てに係る助成等の非課税措置といった特定の方に影響のある改正と医療費控除や寄附金控除の際の添付資料の拡充といった二つの面から考えることができる改正になっているかと思います。ご自分で申告をなさる方の参考になれば幸いです

1.住宅ローンの特別控除に係る期間等の特例

  1. 住宅の新築取得等で特別特例取得(※1)に該当する場合で、令和3年1月1日から令和4年12月31日までに居住した場合には、住宅ローン控除について期間13年の特例を適用できるようになりました(新型コロナウィルス感染症等の影響に対応するための国税関係法律の臨時特例に関する法律(以下、「新型コロナ税特法」)6の2①)
  2. 住宅の新築取得等で特例特別特例取得(※2)に該当する場合も控除期間13年の特例を適用することができるようになりました。ただし、合計所得金額が1,000万円を超える年は、適用できません。(新型コロナ税特法6の2④~⑦)
  • (※1)特別特例取得:特別特定取得(消費税10%における住宅の新築・取得又は増改築)のうち、注文住宅では契約締結が令和2年10月1日から令和3年9月30日までの期間のもの、分譲住宅・増改築では契約締結が令和2年12月1日から令和3年11月30日までの期間のもの
  • (※2)特例特別特例取得:特別特例取得に該当する場合で、床面積が40㎡以上50㎡未満の住宅の取得

 「特別特例取得」や「特例特別特例取得」といった用語が解りにくいかと思いますが、契約締結日、居住開始時期及び床面積に留意して控除期間13年間の特例を適用できるかを判断することがポイントです。

2.子育て支援の助成金等についての非課税措置

 国又は地方公共団体が保育その他の子育てに対する助成を行う事業その他に類する一定の助成を行う事業により、その業務を利用する者の居宅等において保育その他の日常生活を営むのに必要な便宜の供与を行う業務の利用(ベビーシッター等)又は認可外保育施設等の利用に要する費用等に対する助成については所得税を課さないこととされました(所得税法9①十六、所得税法施行規則3の2)。

3.医療費控除の適用を受ける際の確定申告書の添付書類

 医療保険者の医療費の額を通知する書類の添付に代えて、次のような書類の添付ができるようになりました。

  • 審査支払機関(社会保険診療報酬支払基金及び国民健康保険団体連合会)の医療費の額等を通知する書類
  • 医療保険者の医療費の額等を通知する書類に記載すべき事項が記録された電磁的記録を一定の方法により印刷した書面で国税庁長官が定める一定のもの

 確定申告の際、医療費の明細を手作業で作成されていた方にとっては、上記の国民健康保険等の医療費の通知書で申請ができるのは、確定申告の手間が減るのではないでしょうか。

4.寄附金控除の適用を受ける際の証明書の拡充

 特定寄附金を受領した者の特定寄附金の額等を証する書類に代えて、地方公共団体と寄附の仲介に係る契約を締結している一定の事業者の特定寄附金の額等を証する書類を添付書類とすることができるようになりました。

 具体的には、ふるさと納税について、従来各自治体から送られてくる寄附金受領証明書を保存して集計していた作業が、ふるさと納税のポータルサイトの事業者の発行する寄附金控除に関する証明書を添付すれば足りることになったため、こちらも役立つ方が多いのではないかと思います。

5.確定申告書等の押印義務の廃止

 確定申告書や青色申告決算書等の提出者等の押印をしなければならないとされている税務関係書類において、原則として、押印を要しないこととされました。

まとめ

 上記のように、今回の税制改正により確定申告も個人で対応しやすくなっておりますが、それ以外にe-Tax(国税電子申告・納税システム)についても利便性向上施策により個人の方が使いやすくなっています。

 事業所得がない方であればスマホで確定申告できますし、事業所得や不動産所得のある方についてはe-taxの利用に従来ICカードリーダライタが必要でしたが、2次元バーコードをスマホで読み取ることで代替できるようになりました。また、マイナポータル連携により、ふるさと納税や医療費等の控除証明書等のデータをまとめて取得して確定申告書に自動入力できるようになっており、ご自身で入力される際に効率的な作業ができるようになっています。ご自身で確定申告される方は、是非e-Taxのご利用をご検討いただければと思います。

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